【事例】LINEで進化する「店舗回遊イベント」
- 「参加したユーザーが途中で飽きて離脱してしまう」
- 「スタンプは集まったけれど、参加者がどのように回遊したのか(行動データ)が分からない」
- 「イベント終了後、参加者との接点が切れてしまい、一過性のイベントで終わってしまう」
本記事では、実際に地域の飲食店20店舗が参加して実施された「観光地LINEスタンプラリー」の具体的な成功事例をもとに、LINE公式アカウントと機能拡張ツール「Poster(ポスター)」を活用した、ユーザーを途中で離脱させないUX(ユーザー体験)設計と、次のマーケティングに活かせるデータ活用術について詳しく解説します。
1. 事例概要:飲食店20店舗を巡る「グルメスタンプラリー」
まずは、今回ベースとなるスタンプラリーの企画概要をご紹介します。観光地の飲食店を巻き込み、地域の回遊性を高めるために緻密に設計されたパッケージです。
- イベントコンセプト: 「お店を巡って豪華宿泊券を当てよう!」
- 対象スポット: 地域の飲食店 全20箇所
- クリア条件と景品設計:
- 15〜19箇所達成: ヴィラペア宿泊券(抽選応募権)
- 20箇所コンプリート: ヴィラペア宿泊券 または 豪華ホテルペア宿泊券(選択して抽選応募権)
- 応募方法: 条件達成時にLINE内で起動する応募フォームより、名前・賞品の送付先を入力
💡 景品設計のポイント:「絶妙なハードル設定」で離脱を防ぐ
全20箇所というボリュームは、観光客にとって満足度の高い規模感ですが、最初から「20箇所コンプリートのみが対象」にしてしまうと、「そんなに回するのは無理だな」と最初から諦めてしまう心理(離脱)が働きます。
そこで本事例では、「15箇所」という絶妙に手が届く第一のゴールを設定しました。15箇所を達成すれば一等賞の応募権が得られるため、参加者の心理的ハードルが下がります。さらに、その先にある「20箇所コンプリート」には「景品の選択肢が増える」というプレミアムなご褒美を用意することで、「せっかくなら最後まで回ろう」というモチベーションを維持させる設計にしています。
2. 途中で離脱させないUX:「獲得順付与」の秘密
多くのデジタルスタンプラリーシステムでは、仕様上「スポット1で獲得したスタンプは、スタンプカードの1番のマスに表示される」というように、表示場所が固定されています。
しかし、この仕様には落とし穴があります。参加者がスポット12、スポット5……といった順番で変則的に回った場合、スタンプカードの見た目が「虫食い(歯抜け)」のような状態になってしまいます。人間は視覚的に「空白」が多いと達成感を得づらく、モチベーションが低下して途中でやめてしまう原因(離脱)になりやすいのです。
Posterの「拡張QRコード」で実現するノンストレスなカード設計
本事例では、LINE公式アカウントの拡張ツール「Poster」の「拡張QRコード」という特殊な機能を活用しました。
この機能の最大の特徴は、「どこのお店から回っても、スタンプを獲得した順番に、カードの左上から詰めて付与される」という点です。
参加者はどこからスタートしても、スタンプを押すたびにカードが綺麗に「1個目、2個目、3個目……」と埋まっていきます。視覚的に「着実にゴールに近づいている」という達成感が直感的に伝わるため、ユーザーのワクワク感を損なうことなく、次の店舗への回遊へと背中を押すことができます。
また、スタンプの画像は各店舗オリジナルのスタンプ画像を設定。同じ店舗で複数のスタンプは獲得できない仕様(不正防止)にしつつも、「次のお店ではどんなデザインのスタンプがもらえるだろう?」というコレクター心をくすぐる演出を施しています。
3. ユーザーを迷わせない「1種類のリッチメニュー」と親切な導線
デジタルスタンプラリーにおいて、スマートフォンの操作に不慣れなシニア層から若年層まで、誰一人迷わせないUI(操作画面)のデザインは必須条件です。本事例では、LINEのトーク画面下部に表示される「リッチメニュー」をあえて1種類に集約し、究極にシンプルな導線を作りました。
リッチメニューに配置したボタンは、以下の3つだけです。
- スタンプカード表示: タップすると、現在のスタンプの貯まり具合を即座に確認できます。
- 店舗一覧表示: 参加している飲食店20マスの魅力を紹介する特設ページへリンク。
- QRコードリーダー起動: お店に設置されたQRコードを読み取るためのカメラを、LINE内で一発起動します
「店舗一覧表示」に隠された、観光客に優しい一工夫
「店舗一覧表示」のボタンから遷移するページには、単なる店名リストではなく、20スポットすべての「Googleマップ」と「公式Instagram」のリンクを網羅して紹介しました。
観光客にとって、「次にどこの店に行こうか」「その店までどうやって行けばいいか」「どんなメニューがあるのか」を調べる手間は非常に煩雑です。LINEの中から移動することなく、Googleマップで現在地からのルートを確認でき、Instagramで最新のグルメ写真をチェックできる導線を作ったことで、「調べるのが面倒だから帰ろう」という機会損失を防ぎ、観光地全体の周遊性を劇的に高めることに成功しました。
4. 不正を許さない「位置情報(GPS)制限」と分単位のデータ活用
デジタルスタンプラリーの導入において、多くの運営事務局様が最も懸念されるのが「ネット拡散による不正スキャン」です。「店頭のQRコードをスマートフォンで写真に撮り、SNSやネット掲示板に投稿され、現地に行かないユーザーが自宅にいながらコンプリートしてしまったらどうしよう……」というご相談を非常によくいただきます。
本事例では、豪華なペア宿泊券が景品ということもあり、Posterの強力な不正防止機能である「位置情報(GPS)制限」を全20スポットに導入しました。
① 緯度・経度×半径による「現地チェックイン」の義務化
具体的には、各店舗の正確な「緯度・経度」をシステムに登録し、「そのスポットから半径〇〇メートル以内にいる場合のみスタンプを付与する」という制限をかけました。
この判定半径は、ロケーションの特性(スマートフォンのGPSが届きにくい屋内や、商店街の密集地など)に合わせて100m〜100,000mの間で店舗ごとに任意設定が可能です。これにより、万が一QRコードの画像がネット上に流出したとしても、実際にその店舗の前に足を運ばなければ絶対にスタンプが獲得できない仕様を実現。イベントの公平性と信頼性を完璧に担保しました。
② 観光地全体の「人の流れ」まで丸裸にするデータ活用
さらに本システムでは、位置情報の照合と同時に、「どの店舗のスタンプを、誰が、何月何日の何時何分に獲得したか」まで、分単位のタイムスタンプを含む詳細レポートを自動記録(CSVダウンロードも可能)しています。
これにより、万が一GPSを偽装するような悪質なアクセスがあった場合でも、不自然な日時の連続スキャンを検知して事務局側で弾くことができる「2段構えのセキュリティ」を構築しました。
また、このデータは不正防止だけでなく、マーケティングにおいても大きな威力を発揮します。 各店舗のCSVデータを「ユーザーID(LINEの識別子)」をキーにして結合すれば、参加者全体の動きをマクロな視点で捉え、以下のような高度な回遊分析(エリア全体の動態分析)が可能になります。
- 曜日×時間帯別の「混雑ヒートマップ」の作成
- 参加者が最初に訪れやすい「スタート店舗(ゲートウェイ)」の特定
- 「A店の後にB店へ行く確率が高い」といった店舗同士のハシゴ(相関)分析
- 「駅前エリアから奥のエリアへ人が流れているか」というエリア間の流入・流出分析
「12時15分にA店でランチをした人が、13時45分にB店へ移動している」といった、観光客のリアルな行動パターンが数値で浮き彫りになるため、「この2店舗でコラボキャンペーンを組もう」「奥のエリアの店舗はスタンプ獲得のポイントを優遇しよう」といった、次なる観光施策の精度を劇的に向上させる貴重な資産となります。
5. 💡 運営の豆知識:地下や奥まった店舗で「位置情報が取得できない」ときの裏ワザ
飲食店20店舗を対象にする場合、どうしても「地下の店舗」や「ビルや商店街の奥まった場所」など、スマートフォンのGPS電波が届きにくく、位置情報エラーになってしまうスポットが出てくることがあります。
事前にこうしたトラブルを防ぐため、運営事務局様が知っておくべき2つの対策をご紹介します。
店舗のロケーションに合わせて「判定半径」を広めに設定する 見通しの良い屋外店舗は「半径100m」とし、電波が届きにくい地下店舗は「半径300m〜500m」に設定するなど、店舗ごとに柔軟にカスタマイズすることで、現地にいるのにスタンプが押せないというエラーを防げます。
参加者のスマートフォンで「Wi-FiをON」にしてもらう(※接続不要) これが最も効果的な対策です。実は、特定のWi-Fiスポットに接続していなくても、スマートフォンのWi-Fi機能を「ON」にするだけで位置情報の精度が劇的に上がります。
これは、スマートフォンが周囲にある複数のWi-Fiルーターから出る電波(識別信号)をキャッチし、その位置関係から現在地を割り出す「Wi-Fi測位(位置情報補正)」の機能が働くためです。GPSの電波が届かない屋内や地下でも、この仕組みによって現在地を正しく特定できるようになります。
イベントの案内POPやLINEの配信内で、「位置情報がうまく取得できない場合は、Wi-FiをON(接続は不要)にしてみてください!」と一言添えておくだけで、現地での操作エラーやクレームを大幅に減らすことができます。
6. 成果を最大化する「セグメント配信」と自動化された応募フォーム
スタンプラリーの開催期間中、ただユーザーが回ってくれるのを待つだけではもったいありません。システム全体のレポートでは、「参加者総数」「達成者数(15個以上)」だけでなく、「スタンプ獲得数毎の人数(例:5個の人が〇人、14個の人が〇人)」をリアルタイムで把握できます。
このデータを活かして行われたのが、LINEならではの「セグメント配信(お友だちの状況に合わせたメッセージの送り分け)」です。
- 配信例: 「現在、スタンプを【14個】獲得しているユーザー」だけに絞り込んでメッセージを送信。
- メッセージ内容: 「あと1店舗で豪華宿泊券に応募可能です!近くにある〇〇店で、美味しいスイーツはいかがですか?(店舗のGoogleマップリンクを添付)」
このように、「あと少しでクリアできるのに、足踏みしているユーザー」の背中をピンポイントで押すことで、イベントの達成率を大幅に引き上げることができます。全ユーザーに一斉配信するわけではないため、すでに20個集めた人や、まだ始めたばかりの人に不要な通知が届いてブロックされるリスクも防げます。
応募・配送ミスのリスクを無くす、フォームの自動化
15箇所、あるいは20箇所を達成したお友だちには、システムが自動的に判別して「応募フォーム」を表示します。 フォームでは、景品の発送に不可欠な「名前」「賞品の送付先住所」などを正確に取得。条件を達成していないユーザーにはフォーム自体が表示されないため、事務局側での「この人は本当に条件を満たしているか?」という目視での照合作業が一切不要になります。個人情報の管理コストや配送ミスのリスクを最小限に抑え、少人数のスタッフでも大規模なイベントを破綻なく運営できる仕組みを実現しました。
まとめ:LINEスタンプラリーがもたらす地域DXの未来
今回の事例の最大の成果は、飲食店20店舗の売上向上やイベントの盛り上がりだけではありません。本当に価値があるのは、「イベントが終わった後も、参加してくれた数千人の観光客・地域住民が、LINEの『友だち』として繋がり続けている」という点です。
紙のスタンプラリーであれば、イベント終了と同時に参加者との接点は失われてしまいます。しかしLINE公式アカウントを活用すれば、取得した行動データ(どのエリアに興味があるか、何時ごろ活発に動くかなど)を蓄積した状態の「見込み客リスト」が手元に残ります。
- 次回の観光イベントの先行告知
- 季節限定メニューやクーポンの配信
- 地域の特産品を扱うECサイトへの誘導
など、イベント終了後も「関係人口」として継続的なアプローチを仕掛けることができ、一過性のフェスティバルで終わらせない「持続可能な地域DX」の基盤を築くことができます。
LINEスタンプラリーの企画・構築は、assistにお任せください
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