学校広報におけるLINE活用の広がり
近年、中学校・高校・大学の広報担当者様とお話ししていると、
「うちの学校でもLINE公式アカウントを本格的に動かしたい」というご相談をいただくことが非常に多くなりました。
少し前までは、学校の情報を届ける手段といえば、立派な紙の学校案内パンフレットを制作したり、公式のホームページを充実させたりするのが主流でした。
もちろんそれらは今でも重要な役割を担っていますが、情報を「届ける」という点において、受験生やその保護者の日常に最も近いツールがLINEであることは間違いありません。
考えてみれば、今の受験生たちにとって、日常のコミュニケーションのベースはすでにLINEにあります。
保護者の方々も同様で、メールの受信トレイは開かなくても、LINEの通知があればすぐに確認するという方が大半です。
こうした日常的なツールだからこそ、学校側からの一方的な情報発信にとどまらず、受験生一人ひとりに寄り添い、適切なタイミングで必要な情報を届けることができるという点で、LINEの活用に注目が集まっているのです。
実際に、いち早くLINE公式アカウントを導入した学校では、学校説明会のお知らせや部活動の大会結果、日常の学校風景などをタイムリーに配信し、受験生との距離をぐっと縮めることに成功しています。
ホームページを自ら見に来てもらうのを「待つ」広報から、受験生の手元に直接情報を「届ける」広報へとシフトしていると言えるでしょう。
本記事では、実際に学校現場でどのようにLINEが活用されているのか、具体的な情景が思い浮かぶような事例を交えながら、成功の秘訣をお伝えしていきます。
【活用事例】学校の魅力を伝え、受験生との距離を縮めるLINE運用
学校広報においてLINEをどう使えば良いのか。ここでは、よくある具体的な活用シーンをいくつかご紹介します。実際に自校で導入した場合を想像しながらお読みください。
学校説明会への参加率を底上げする「手軽な予約」と「リマインド」
広報担当者様が最も頭を悩ませる課題の一つが、
学校説明会やオープンスクールへの集客と、当日の参加率ではないでしょうか。
せっかく興味を持って予約してくれたのに、当日になってキャンセルが出てしまうのは非常に悔しいものです。
そこで活躍するのが、LINEの手軽さと通知機能です。
ある私立高校では、学校案内のパンフレットやポスターにLINE登録用のQRコードを大きく掲載し、まずは「友だち追加」を促しています。
そして、LINEの画面下部に表示されるメニュー(リッチメニュー)から、数回のタップだけで説明会の予約ができるような仕組みを構築しました。
Webサイトで名前や住所、電話番号などを一から入力する手間が省けるため、電車での移動中やちょっとした空き時間に、保護者の方も受験生本人も気軽に申し込みを完了させることができます。
さらに効果的なのが、説明会前日の「リマインド(再確認)」メッセージです。
たとえば、
「明日の説明会は10時受付開始です。当日は少し冷え込む予報ですので、暖かくしてお越しくださいね。生徒会役員一同、皆様にお会いできるのを楽しみにしています」
といった温かみのあるメッセージを前日の夕方に配信します。
このような気遣いの一言が添えられた通知が手元に届くことで、受験生は「この学校は自分を歓迎してくれている」と感じ、当日の参加意欲が高まります。結果として、無断キャンセルが激減し、参加率が大幅に向上したというケースがあります。
学校見学の回遊率を高め、エンタメ要素をプラスする「LINEスタンプラリー」
見学会やオープンスクールの当日、ただ全体説明を聞くだけでなく、「体験」として学校を楽しんでもらうための仕掛けとしてもLINEは有効です。
全体説明が終わった後の自由見学の時間、メインの施設だけを見てすぐに帰ってしまう受験生は少なくありません。
そこで、校内を隅々まで回ってもらうためのエンタメ要素として「LINEスタンプラリー」を取り入れる事例があります。
ある私立高校の学校見学会では、校内の各スポットに、専用のQRコードパネルを設置しました。
中学生が自分のスマホでLINEを開き、QRコードを読み込むと、画面上にポンッと学校オリジナルの電子スタンプが貯まっていきます。
「スタンプを3つ集めると、オリジナルノベルティと学食の無料体験チケットをプレゼント!」という企画にしたところ、参加者はゲーム感覚で楽しみながら、当初は行く予定のなかった施設にも積極的に足を運ぶようになりました。
中学生同士で「あっちの理科室にも行ってみようよ!」「あと1個でコンプリートだ!」と誘い合うような連鎖的な盛り上がりも生まれ、キャンパス全体の回遊率と滞在時間が飛躍的に向上しました。
さらに、イベント当日に何度も学校のLINEアカウントを開いて操作してもらうことで、「このアカウントは楽しくて役立つものだ」という認識が自然と育ち、イベント終了後のアカウントブロック(配信解除)を大幅に防ぐことにも繋がっています。
ただし、当日多くの参加者が一斉にアクセスしてもスムーズにスタンプが付与される仕組みや、同じ人が同じスタンプを何度も取得できてしまうような不正を防ぐ裏側の設定には、少々専門的なシステム設計が必要です。ここを確実にクリアすることで、当日の先生方や運営スタッフの負担を増やすことなく、満足度の高い見学会を実現できます。
説明会後から受験本番まで、段階的なメッセージで意欲を育む
学校説明会に参加してくれた受験生に対して、その後どのようなフォローを行っているのでしょうか。
多くの場合、アンケートに答えてもらって終わり、あるいは出願の時期になってから突然お知らせを送る、といった状況に留まりがちです。
しかし、受験生の気持ちは日々揺れ動いています。説明会で高まった「この学校に行きたい!」という熱を、受験本番まで維持し続けるためのサポートが重要です。
LINEを使えば、あらかじめ用意しておいたメッセージを、特定のスケジュールに沿って順番に自動で届けることが可能です。
例えば、説明会に参加した翌日には、「昨日はご参加いただきありがとうございました」というお礼のメッセージとともに、校長先生からの短い動画メッセージを届けます。
一週間後には、「在校生が語る、うちの学校のここが好き!」というインタビュー記事のリンクを配信し、
一ヶ月後には部活動の紹介や、学校行事のダイジェスト映像を送る、といった具合です。
このように、受験までの期間に少しずつ、しかし継続的に学校の魅力を伝え続けることで、受験生の心のなかに学校の存在が自然と根付いていきます。
徐々に学校への理解を深めてもらい、第一志望としての確固たる決意を固めてもらうための強力な後押しとなるのです。
学年や興味に合わせた個別配信で「私へのメッセージ」と感じてもらう
一斉に同じ情報を届けるだけでは、情報の受け手によっては「自分には関係ない」とスルーされてしまうことがあります。
中学1年生と中学3年生とでは、知りたい情報は全く異なりますし、運動部に興味がある生徒と、理数系のカリキュラムに興味がある生徒でも、求める内容は違います。
そこで、LINE登録時に簡単なアンケート(学年、興味のある部活動、現在の悩みなど)に回答してもらい、その情報を元にメッセージを送り分ける工夫が有効です。
例えば、中学3年生には入試問題の傾向や対策のアドバイス、出願スケジュールの詳細など、具体的で実用的な情報を届けます。
一方、中学1年生や2年生には、まずは学校の楽しい雰囲気を知ってもらうための文化祭の様子や、制服の紹介などを中心に配信します。
吹奏楽部に興味があると回答した生徒には、定期演奏会のお知らせをピンポイントで送ることも可能です。
自分自身の興味や状況にぴったり合った情報だけが届くため、受験生は「この学校は自分のことを見てくれている、わかってくれている」という安心感を抱きます。
ただし、こうした細やかな送り分けを実現するには、裏側で配信のルールを緻密に設定する必要があります。
どのような条件で、誰に、どの情報を届けるのか。この仕組みづくりこそが、LINE運用の成否を分ける重要なポイントとなります。
LINE登録者だけの「特別感」で、学校のファンを増やす
受験生が数ある学校の中から「ここに行きたい」と選ぶ決め手は、偏差値や通いやすさだけではありません。
学校に対する「愛着」や「憧れ」といった感情的なつながりも非常に大きな要素です。
LINEというパーソナルな空間だからこそ、特別感を演出することで、受験生を自校のファンへと変えていくことができます。
例えば、LINEに登録してくれた方限定で、過去の学校説明会では語られなかった「裏話」や、入試担当者からの一言アドバイス動画を配信するといった方法があります。
また、在校生や卒業生の保護者による「リアルな体験談」のコラムなど、表のホームページには掲載しきれない、より深く、より人間味のあるコンテンツを提供することも効果的です。
「LINEの友だちにならないと見られない」という限定感は、登録を促す強力な動機付けになるだけでなく、登録後もブロックされにくくなるという大きなメリットがあります。特別扱いされていると感じることで、受験生や保護者の学校に対する愛着は確実に高まっていきます。
運用を成功に導くための「知っておくべき注意点と豆知識」
ここまで、LINE公式アカウントの魅力的な活用方法をご紹介してきましたが、いざ運用をスタートする前に、必ず押さえておくべき重要な注意点と、知っておくと得をする豆知識をお伝えします。
【重要】広報用と在校生向け(連絡網)のアカウントは必ず分ける
学校現場でLINEを導入する際、最も多くいただく失敗談の一つが
「一つのアカウントで、受験生向けの広報活動と、在校生・保護者向けの連絡網を兼ねてしまった」というものです。これは絶対に避けるべきです。
受験生向けのアカウントは、いわば「学校の魅力を外に向けてアピールし、新しい仲間を増やす」ためのものです。
一方、在校生向けのアカウントは、「明日の体育祭は雨天のため延期します」「今月の学年だよりを配布しました」といった、内部関係者にしか関係のない、あるいは外部に漏れては困るような業務連絡を行うためのものです。
これらを混同してしまうと、本来在校生の保護者にだけ送るべき重要な連絡が、誤って受験生に一斉配信されてしまうという、取り返しのつかない情報流出のリスクが生じます。
また、「このメッセージは中学3年生の受験生に」「このメッセージは高校1年生の在校生に」といったように、配信の対象者を分ける設定がパズルのように複雑化してしまい、担当者様の業務負担を極端に増大させてしまいます。
安全かつスムーズな運用のためには、必ず「広報用アカウント」と「在校生向けアカウント」を最初から別々に作成し、完全に分けて運用することが鉄則です。
【豆知識】不要な配信コストを抑える「友だちリストの整理」
LINE公式アカウントは、無料で始められるプランもありますが、登録者(友だち)の数や、月に送るメッセージの数が増えてくると、費用が発生する仕組みになっています。
広報活動がうまくいき、何年も運用を続けていると、友だちの数は何千人、何万人と増えていくことでしょう。
しかし、その中には「すでに数年前に受験を終えて、現在は別の学校に通っている」という方や、「もうメッセージを読んでいないけれど、ブロックするのも面倒でそのままにしている」という方も少なからず含まれてきます。
こうした「もう情報を受け取る必要がない方」に対しても、一斉配信をするたびにメッセージの送信数がカウントされ、結果として無駄な配信コストがかさんでしまう懸念があります。
実は、長期間メッセージを開封していない方や、すでに受験対象の学年を過ぎた方などをシステム上で見分け、メッセージを送らないようにする「リストの整理(クリーニング)」を行うことが可能です。
定期的にこの整理を行うことで、本当に情報を求めている受験生にだけ予算を集中させることができ、コストパフォーマンスの高い広報活動を実現することができます。
自校に最適なLINE運用をスタートするために
本記事では、学校広報におけるLINE公式アカウントの具体的な活用イメージと、運用時の重要な注意点についてお伝えしてきました。
「手軽な予約機能」「段階的なメッセージによる意欲向上」「個別最適化された配信」、そして「特別感の演出」など、LINEをうまく活用できれば、受験生との絆を深め、志願者増加へと繋がる強力な武器になることは間違いありません。
しかし、記事の中でも少し触れましたが、
「アンケートの回答結果に基づいて、自動でメッセージを送り分ける」
「段階的なメッセージをスケジュール通りに配信する」
「無駄な配信を省くためにリストを整理する」
といった高度な運用を日常業務の中でミスなくこなすためには、標準のLINE公式アカウントの機能だけでは難しい場面も出てきます。
実際には、機能拡張ツールを連携させることで、担当者様の負担を最小限に抑えながら、安全で高度な配信の仕組みを構築していくことになります。
また、どのようなメッセージのシナリオを組めば受験生の心に響くのか、その条件設定をどのように組み立てれば良いのかといった点については、やはり専門的な知見や他校での成功ノウハウが不可欠です。
「自校の状況なら、どのような使い方ができるだろうか」
「予算内で無理なく始めるにはどう設定すればいいのか」
「具体的なシステムの連携方法が知りたい」など、少しでもご興味をお持ちいただけましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。
学校ごとの魅力や課題に寄り添い、最適なLINE運用の仕組みづくりをサポートさせていただきます。








